鼠径ヘルニアは子供の場合は予防が難しいが、大人の場合は多くが後天性なので予防が可能です。今回は日常生活における鼠径ヘルニアの予防方法について解説します。大人にとって、以下はいくつかの鼠径ヘルニアの予防方法です。
鼠径ヘルニアとは
まず初めに、鼠径ヘルニアの病気の概要についてご紹介します。
鼠径ヘルニアとは、体の組織や臓器が本来あるべき場所から飛び出てしまう状態を指します。その中でも、鼠径部と呼ばれる足の付け根より少し上の部分から発生するヘルニアのことを鼠径ヘルニアと言います。
鼠径ヘルニアでは、鼠径部に腸などの腹腔内(お腹の中)にある臓器が筋肉や腱組織の外に脱出した状態が起こります。通常、胃や腸などのお腹の臓器のほとんどは、腹膜という袋(嚢)に包まれており、この腹膜はすべて筋肉や腱組織に覆われているため、腸などの腹腔内臓器が筋肉や腱組織の外側に脱出することは絶対にありません。
そのため、鼠径ヘルニアは腹腔内の臓器が筋肉や腱組織の外に脱出するという異常な身体的状態が生じていることになります
鼠径ヘルニアの主な症状
スポーツをしていて以下のような症状が現れたら、鼠径ヘルニアかもしれません。
鼠径部の膨らみ:これは主に立っているときや力を入れたときに見えます。
痛みや不快感:運動中やその後に鼠径部に痛みを感じる場合です。
活動時の違和感:特に激しい動作をした後に鼠径部で何かが引っかかる感じがある場合。
鼠径ヘルニアは予防できるかどうか
スポーツを安全に楽しむためには、以下の予防策が効果的です。
1. 適切なウォームアップとクールダウン:筋肉を適切に準備し、柔軟性を高めることで、怪我のリスクを減らします。
2. 筋力トレーニング:特に腹部と背中、鼠径部周辺の筋肉を強化することで、内臓を支え、ヘルニアのリスクを減らします。
3. 日々の生活で立ち仕事に従事している方、立つ時間が長い方は注意が必要です。商品の製造やレジ仕事など、立ち続ける時間が多いと前述したようにお腹に力が入ることがあり、鼠径ヘルニアになるリスクが高まりますので、注意しましょう。
4. 便秘気味の方は、便を出そうとしてお腹に力が入ることが多いため鼠径ヘルニアになるリスクが高まります。食生活を改善し、食物繊維を多く摂ることやヨーグルトを食べることなどを意識しましょう。また、適度な運動をして腸の動きをよくするように心がけることをオススメします。
5. 肥満気味の方は、腹圧が罹りやすい状態にあるため鼠径ヘルニアになりやすい傾向にあります。体重を適正にするほか、食事を取りすぎないこと、脂肪分の多い肉類を食べる量を減らすこと、運動習慣をつけることを意識しましょう。ただし、過度な運動(筋力トレーニングなど)は控えた方が良いと思われます。
6. 正しい技術の習得:スポーツの技術を正しく学び、無理な力のかけ方を避けることが重要です。
7. 体のサインに注意する:不快感や痛みを感じたら、無理をせず、適切な休息を取ることが大切です。
まとめ
現時点では、医学的に鼠径ヘルニアを予防する方法は確立されておらず、鼠径ヘルニアを予防することは難しいとされています。
ただし、鼠径ヘルニアの発症リスクである「腹圧がかかる行動」、「肥満」、「喫煙」などを避けることにより、病態の進行や症状の悪化を防ぐことは可能です。
これらの行動を極力避けることは、鼠径ヘルニアの患者さまが日常生活で意識したいポイントと言えます。
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