賃貸物件のトラブルの原因で、最も多いといわれるのが「騒音」だ。騒音トラブルによって、被害者になる可能性も加害者になる可能性もあるため、賃貸物件を選ぶ際には、防音に関してもしっかり確認しておこう!
マンションの防音性は、実際に住んでみなくてはわからないと思っている人も多いかもしれないが、実は防音性を決めるポイントがあるのだ。事前にそのポイントを把握して物件探しをすれば、トラブルのリスク回避につながる。
マンションの防音性を決めるのは、「構造」と「間取り」
マンションの防音性を決めるポイントは、「構造」と「間取り」だ。
まず「構造」に関してだが、音には空気により伝わる空気伝播音と物件の構造内部を通る固体伝播音があり、壁や床の材質などによって音の伝わりやすさに違いが出てくる。
賃貸物件の構造でいうと、木造 < 鉄骨造< SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造) < RC造(鉄筋コンクリート造)の順番で防音性が高くなるといわれている。そのため、建築構造の違いは、防音性の違いに関わってくるのだ。
次に「間取り」だが、隣の部屋とどのように接しているかで防音性は変わる。たとえば、寝室の壁の向こうが隣の間取りで浴室だった場合、特に生活音でトラブルになることはない。
しかし、たとえば寝室と居間が隣り合っていると、常に生活音が聞こえてくるためトラブルになってしまう可能性がある。
ワンルームや1Kの集合住宅では自室と隣戸の居室が隣り合っている場合も多い。居室と居室の間にクローゼットや廊下、パイプスペース※ が配置されている間取りであれば、居室の生活音が隣に伝わるのを軽減してくれる。
※パイプスペース:配管などが格納されている場所。間取り図上で「PS」と表記されていることも
賃貸物件を探す場合、一般的には自分が住む部屋の間取りしかチェックしないものだが、隣の部屋の間取りをチェックしておくことで、騒音トラブルを事前に回避することもできるのだ。
鉄筋コンクリート造のマンションであれば静かであるとは限らない
鉄筋コンクリート造だからといって、完璧な防音であるとは限らないということに注意しよう!
構造上、防音性に最も優れているのはRC造(鉄筋コンクリート造)とされている。鉄筋コンクリート造であれば壁が厚くなるため、テレビやオーディオの音などで生じる空気伝播音も伝わりにくくなる。
しかし、音というのは固体伝播音もある。固体伝播音は、個体を通じて伝わる音で足音や家具を移動する音などのことだ。こういった音は鉄筋コンクリート造でも伝わってしまう。
また、仮に鉄筋コンクリート造となっていても、すべての壁がコンクリートになっていない場合もある。物件によっては壁に石膏ボードを採用しているため、隣の部屋の音が聞こえたり、逆にこちらで出す音が聞こえてしまったりするなど、思っていたような遮音性は得られないこともあるのだ。
部屋の防音性を高めるための工夫
前述したが、どんなに防音性の高い物件のポイントを踏まえて選んだとしても、実際に住んでみなければわからない。
住んでみた後に遮音性や防音性の低さに気がついてしまうと、さまざまなトラブルで悩んでしまうことになるだろう。しかし、防音性を高めるための対策はあるので、騒音の状況に合わせて工夫してみよう。
部屋の防音性を高めるための工夫①:厚めのカーテンを使う
意外かもしれないが、部屋の防音性はカーテン一つで大きく変わる。普通のカーテンだと防音性は望めないが、厚めのカーテンにすれば防音性が高まるのだ。
雪が降ると音を吸収して静かになるのと同じで、柔らかな繊維の弾力が音を吸収することで音漏れを防ぐ効果が期待できる。
また、金属素材がコーティングされていたり、カーテン生地の織り方が複層になっていたりする遮音カーテンであれば、外から聞こえる騒音を緩和させることも可能だ。
少し値は張るが、遮音素材と防音素材を組み合わせたカーテンもあるので、音の状態によって選んでみるといいだろう。
部屋の防音性を高めるための工夫②:家具の配置を変える
隣接する部屋の音が気になる、もしくは自分の部屋から出る音を防ぎたい場合は、家具の配置を変えてみるのがおすすめだ。
生活空間が隣接している壁に本棚やテレビを置いたり、逆にベッドを隣の部屋と隣接していない場所に移動させたりすると、音が気にならなくなるかもしれない。特に、本棚のように厚みがある大型家具は、壁に厚みを持たせるのと同じ効果があるので、防音対策として効果を発揮してくれるだろう。
部屋の防音性を高めるための工夫③:床にカーペット、ラグ、マットなどを敷く
最近の住居のほとんどは床がフローリングになっている。フローリングは直に衝撃音を広い、固体伝播音として周りに振動が伝わりやすい性質を持っているため、生活音がダイレクトに階下に響いてしまうことも多い。
少し歩いたり椅子を動かしたりするだけでも音が伝わってしまうことがあるため、固体伝播音を防げるカーペットやラグ、マットなどを敷いてみよう。クッション性のあるものを敷けば、足音などが階下に響くのを防ぐ効果がある。
ただし、カーペットやラグなどは毛足が長いものだと掃除が大変な場合もある。掃除が面倒であれば、クッション性があるタイルマットなどを活用するといいだろう。
防音性が高い・騒音が気になりにくい物件を探すポイントは?
防音性が高い物件を探すポイントは、構造や間取り以外にもいくつかある。音は外からも聞こえるので、時間や曜日、窓ガラスの機能などによっても防音性には大きく関わってくるのだ。
ここでは、どういったポイントを押さえておけばよいのか、詳しく説明していく。
騒音が気になりにくい物件①:曜日や時間帯を変えて周辺環境をチェック
高層マンションの高層階であればあまり気にならないかもしれないが、低層階の場合は外からの音が思った以上に入ってくる。
学校や商業施設が近くにある場合、人の話し声などが響いたり、幹線道路が近くにあれば自動車などの騒音が聞こえたりする。
こういった音は曜日や時間によって変わるため、1回の内見で判断するのではなく、平日と休日、昼と夜など時間帯を変えて周辺環境をチェックしよう。
騒音が気になりにくい物件②:窓ガラスの機能性で部屋を選ぶ
周辺環境に惑わされず物件探しをしたいというのであれば、遮音性の高い窓ガラスを採用している物件を選ぶのがおすすめだ。最近は、遮音や防音の機能がついている窓ガラスもあるので、条件に入れておこう。
気に入った物件の窓ガラスに遮音機能がついていない場合、自費で機能性の高い窓に交換するという方法もある。ただし、いくら自費であっても勝手に替えることはできないため、事前に管理会社に確認をしておかなくてはいけない。
交換できない場合は、壁を傷つけずに内窓を設置する方法もあるので検討してみるといいだろう。
騒音が気になりにくい物件③:他の部屋からの音が気になる場合は「最上階」
マンションなどの騒音トラブルの発端となるのが生活音だ。子どもが走り回ったり掃除機をかけたりすると、階下には思った以上の音が伝わることがある。
上階から聞こえる音は固体伝播音で、空気伝播音よりも伝わりやすいため、不快指数も高くなる。特に音に対して神経質だったり、ほかの部屋の音が気になるタイプだったりするのであれば、最上階を選ぶのもおすすめだ。
騒音が気になりにくい物件④:他の部屋に迷惑をかけたくない場合「1階」
自分の出す生活音でトラブルになりたくない、ほかの部屋に迷惑をかけたくないというのであれば、1階を選ぶのがポイントとなる。1階であれば、足音などは気にしてなくてもよいが、空気伝播音の場合は隣の部屋に伝わってしまう可能性があるため注意が必要だ。
大音量で音楽や映画を楽しみたいという場合は、間取りや壁の材質をチェックしておこう。
物件選びや防音対策を工夫して、騒音の悩みを解決!
音というのは周波数で伝わるため、賃貸物件で完全にシャットアウトするのは難しい場合もある。しかし、構造や間取りなどの選び方を工夫したり、自分で防音対策をしたりすれば騒音トラブルを避けることはできる。物件選びの段階から防音性の高い物件を探すためのポイントをしっかり確認し、音のストレスがない快適な部屋を見つけよう。
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