バルーン葬とは?宇宙を目指す空中散骨!費用と方法

自分が亡くなった後、冷たくて暗いお墓の下の納骨室に閉じ込められたくない、という人が増えています。

そのような人にとって理想的な方法の1つに散骨があります。
そして散骨の方法も最近は非常に多様化しています。

その1つがバルーン葬です。しかしバルーン葬という言葉を初めて聞いたという人も多いでしょうから、ここで詳しくバルーン葬について解説して行きます。


目次


  • バルーン葬とは
  • バルーン葬の費用
  • バルーン葬は法律違反ではないのか
  • まとめ

バルーン葬とは

ではまずバルーン葬とは何かという点からです。

バルーン葬とは散骨の一種

冒頭で書いたようにバルーン葬とは散骨の中の1つの埋葬方法です。

散骨とは

そもそも散骨とは、自然葬の一種です。

自然葬とは遺骨を石に囲まれた納骨室に埋葬せず、海や山林などの自然の中に遺体や遺骨を埋めたり撒いたりして、遺体を自然の生命の循環の中に戻すという埋葬方法です。

自然葬の中には散骨という方法があります。
散骨とは、遺体を火葬した後に、遺骨をパウダー状にして、海や川、山などの自然の中に撒く方法です。

バルーン葬とは

バルーン葬とは散骨する方法の中の1種類です。

先ほど自然葬とは自分を生命の循環の中に戻す埋葬方法だと書きましたが、この考えを地球上だけに限れば、自然の循環は、たとえば養分が木に吸収され、それによって木が成長して実を成らせ、その実を鳥たちが食べて、また土に戻すということになるでしょう。

しかしその範囲を地上だけではなく、宇宙全体に広げた場合、地球も宇宙の生命体の1つですから、生命の循環は宇宙の中で、地球が生まれ、そして繁栄していくということとイコールになります。

バルーン葬とは、宇宙全体の生命の循環の中に自分の遺骨を、循環の1つの成分として戻す埋葬方法です。

バルーン葬の方法

ではバルーン葬とはどのように行うのでしょうか。

バルーン葬のバルーンとは風船、気球のことです。

つまりバルーン葬とは、遺骨を気球に載せて成層圏まで上昇させ、そこで空中に散布することなのです。
散布された遺骨は宇宙の中の細かい岩石と同様に、地球の周囲を旋回し、宇宙の上からいつまでも子孫と人類の平和を見守る、という方法です。

具体的なバルーン葬の実行方法は以下の通りです。

1.場所を決める

まず最初に行うのはバルーン葬の場所を決定することです。
つまり気球を打ち上げる場所をどこにするのかという点です。

気球を打ち上げるには最低でも10m四方の空き地が必要です。
そして気球を打ち上げても障害物がないように、角度45度の上空付近に高層ビルや電線などがないことが条件です。

バルーン葬を行う上では、まずこの条件に合致する場所を確保しなければなりません。

自分の所有地に該当する場所があればよいですが、ない場合は他人の所有地であれば使用許可を取る必要がありますし、公共の場所の場合は市区町村に使用しても良いかを確認する必要があります。

2.バルーン葬の方法を業者と相談する

そしていよいよ気球を打ち上げる場合でも、以下の3つの方法があるので、そのどれかを選ばなければなりません。

1.専門業者に全て委任する
1つはバルーン葬の専門業者に遺骨を預け、バルーン葬の実施を全部委任する方法です。
このような業者は、自社で気球を打ち上げる場所を確保していますから、任せておけば安心です。
バルーン葬の専門業者は打ち上げ風景を写真で収め、遺族に実施法報告書と一緒に提出してくれるはずです

2.バルーン葬の実施に遺族が立ち会う
もう1つはバルーン葬自体の実施は専門業者にまかせても、その実施の時には遺族として立ち会う方法です。
その場合は、業者の用意している打ち上げ場所まで行く必要があります。自分の住まいによっては打ち上げ場所まで距離があるかもしれませんから、宿泊付きで行く必要が出るかもしれません。
また業者によっては、打ち上げ後に集まった遺族で会食を行う段取りをしてくれる場合もあります。

3.遺族が指定した場所で実施する
3つ目は遺族が自分で用意した場所まで気球を運び、そこで遺族の指定した日時に打ち上げる方法です。この方法であれば遺族の移動がないため、場所の確保を除けば遺族の負担は少なくて済みます。ただしバルーン業者の出張費用は必要になります。

3.現地で遺骨とバルーンのセッティングをする

打ち上げ場所と方法が決まったら、決定日時に合わせて業者が会場をセットします。
そして巨大な気球の中に遺族の手によって、粉末状の遺骨を入れます。この気球が成層圏で破裂することによって、遺骨が空中に散布されるのです。

そして気球の中にヘリウムガスまたは水素ガスを注入します。
そうすると気球は直径は2mから2.5mになります。

4.黙とう・お別れの挨拶

これで打ち上げ準備が整います。
その後、業者から打ち上げの挨拶があり、散骨される上空の説明が行なわれます。
次に全員で1分間の黙祷を捧げ、最後に遺族よりお別れの挨拶をします。

5.打ち上げ

そしていよいよ打ち上げです。
打ち上げ方法は参列者全員で気球を持ち、業者の合図で一斉に手を放して、気球を打ち上げることになります。
これがほかの葬儀で言う「葬送」に当たります。

打ち上げられた気球はガスの浮力で空中を上っていき、だいたい2時間後には高度30~35kmの成層圏に達します。
すると気圧が減るため、気球は3~4倍に膨張し、破裂して遺骨が宇宙に散骨されます。

宇宙葬という方法も

バルーン葬と似た埋葬方法に宇宙葬というものもあります。
これは遺骨をカプセルに入れ、気球の代わりにロケットに載せて宇宙に発射し、成層圏以上に上った段階でカプセルを放し、遺骨はカプセルとして宇宙を旋回し、星になるという埋葬方法です。

どんな人が利用するのか

ではバルーン葬はどういう人が利用するのでしょうか。

まず一般的に言って、遺族の意思でバルーン葬を選択することはほとんどありません。
バルーン葬はやはりこの方法によって埋葬されることを本人が望んだ場合に限られます。

バルーン葬を選択する本人は、以下のような希望や特徴を持っている場合が多いでしょう。

・そもそも星や宇宙が好きであり、亡くなった後のは自分も星として宇宙の一部になりたい人
・自由な発想を持っている人
・特定の宗派や宗教を持っておらず、一般的なお墓に入るのに気が進まない人
・空からいつでも家族や愛する人を見守りたいと願う人
・誰にも迷惑をかけずに埋葬されたいと思う人
・ロマンを持っている人

バルーン葬の費用

ではバルーン葬を行うためにはどの程度の費用が必要なのでしょうか

バルーンを上げる費用

気球を用意して打ち上げるというと、その気球も成層圏で破裂して回収できないため、相当の費用がかかると想像するかもしれませんが、バルーン葬本体の費用は思った以上に安く済みます。
打ち上げ費用だけで言えば、おおよそ20万円前後です。

これが一般的な墓石の建っている墓地を購入した場合、150万から300万円必要ですから、費用的には1/10で済むという言うことです。

遺骨の処理費用

このほか遺骨を粉末状にする費用も必要です。
これがだいたい2万~5万円かかります。

ただし、遺骨はそのままの状態で粉末状に粉砕することはできません。汚れがついていたり時間がたってかびていれば、洗骨費用が必要です。
また湿っていては粉骨できないので、乾燥費用も必要です。
それら粉末状にする準備段階の費用が、1~2万円かかります。

逆に言えば、いったん普通のお墓に埋葬して、そのあと故人の希望に沿って、お墓から遺骨を取り出し、洗骨や乾燥を行った上で粉末化し、バルーン葬をすることも可能なのです。

会場準備費用

また打ち上げ場所を遺族で用意できず、業者に委託する場合はその費用も必要です。
土地の所有者から借りる場合はその使用料を支払う必要がありますし、業者の持っている専用の打ち上げ会場を使う場合も別途のその費用が必要です。

この会場費の相場には幅があるので、実施する前に業者に相談しましょう。

出張経費

遺族の用意した会場まで業者が打ち上げ器具などを持って移動する場合、出張費用が必要になります。
この内訳は、業者によって計算方法が異なりますが、多くの場合、高速代、ガソリン代等が実費、スタッフの日当が1人1万程度で最低2人分、宿泊が必要な場合も1人当たり1万円などです。

ビデオ撮影費用

バルーン葬専門業者によっては打ち上げの様子をビデオ撮影してCD-ROMなどで渡してくれます。
故人の思い出を残したい場合は依頼しても良いでしょう。この撮影料金がだいたい2万円程度です。

会食費用

打ち上げ後に、参列した遺族や知人で会食する場合は食事代と会場費も必要です。
飲食店などを使えば会場費はかかりませんが、公民館などを借りると2時間で1万円程度は必要でしょう。
また食事代は1人あたり5000円程度見ておく必要があります。

バルーン葬は法律違反ではないのか

また気になるのはバルーン葬自体、違法ではないのかということです。

自然葬は原則禁止

まず日本では原則として自然葬は禁止です。

日本では「墓地、埋葬等に関する法律」(墓埋法)という法律によって、市区町村が許可した墓地にした遺骨は埋葬できないことになっているからです。
したがって、許可を得ていない場所の場合、その場所が仮に自分の所有地であっても勝手に埋葬はできません。

ではバルーン葬は違法かというとそうではないのです。

散骨だけは黙認されている

実は埋葬方法の中で唯一、市区町村の許可した場所に埋葬しなくてもよいものがあります。

それが散骨です。
墓埋法が施行された昭和23年にはまだ散骨という埋葬方法が一般的ではなく、墓地埋葬法では散骨を可とも不可とも規定していませんでした。

そこで、NPO法人「葬送の自由をすすめる会」が第一回目の自然葬を行った際、法務省刑事局は、「葬送を目的として、故人が節度を持って実施する分には遺棄罪にはならない」といった趣旨の見解が出されました。
ここから、散骨をしても罪には問われないという認識が定着しました。

したがって散骨の1種類であるバルーン葬も、実施したとして処罰されることはありません。
ただし、自分の所有地でない場所で勝手に打ち上げたり、打ち上げた気球が航空機の運航の邪魔をしたりした場合は、処罰の対象になりますから気を付けましょう。

まとめ

バルーン葬という埋葬方法はずいぶんとロマンがあると感じられた人も多いのではないでしょうか。
散骨は現在人気の埋葬方法です。
ですからバルーン葬も今後増えていくことが予想されます。

もしもバルーン葬を希望する場合は、以上の解説を参考に実施内容を検討しましょう。

続きを読む>>

Advertisement